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円高、円安など為替の簡単な予測方法はありますか

円高、円安など為替の簡単な予測方法はありますか

<ファンダメンタル分析による手法>

為替の予測をするための分析手法には、ファンダメンタル分析とテクニカル分析があります。

ファンダメンタル分析とは、その国の経済状況を表す基礎的要因を分析して将来の為替の動きを予測する手法です。具体的には、為替予測の必要な国の①政策金利、②経済成長率、③消費者物価指数(CPI)、④国内総生産(GDP)、⑤失業率(雇用統計)、⑥国際収支、⑦財政収支、その他の経済指標等を分析することで、将来の景気の善し悪しを判断し、為替動向を予測します。また、原油価格相場の動向も各国経済へ影響を与えるため、地政学的リスク等も勘案し、様々な要因を複合的に捉える必要があります。

為替取引には最低2種類の通貨が関係しますので、取引に関連した国のファンダメンタルを分析し、相対的な予測が必要となります。相対的な為替の評価としては、各国の物価水準が為替相場に影響するという購買力平価という考えがあります。

一般的にファンダメンタル分析は短期的な予測には向かないといわれます。

<テクニカル分析による手法>

テクニカル分析は過去の為替の値動きのみに着目して、将来のトレンドを予測する手法です。

具体的には、為替の値動きを図示し、移動平均線、一目均衡表、ピボット指数、ボリンジャーバンド、サイコロジカルライン、ストキャスティクス、 RSI、ポイント&フィギュア等の手法を用いて為替の値動きを予測します(個別手法の解説は省略します)。

しかし、過去の値動きから規則性等を見出しても、サプライズが起こると昨日までトレンドとは関係なく大きく値が動きます。
ファンダメンタル分析でもテクニカル分析でも、正確に将来の為替相場を予測することはできません。

<為替のメカニズム>

為替市場はゼロサム市場です。ゼロサム市場とは損失と利得の総和がゼロになる市場のことですから、誰かが利益を得ていれば、誰かが同額の損失を被っていることになります。

ファンダメンタル分析から、①GDP成長率の高まりは通貨高要因になりやすい、②経常収支の黒字幅拡大は通貨高要因になりやすい、③政策金利の上昇は通貨高要因になりやすい、一方、④インフレの進行は通貨安要因になりやすい、と一般的には考えられています。

ただ、2国間の通貨の相対比較ですから、必ず上記のように為替相場が動くとは限りません。売る人がいる一方、買う人がいるわけですから、心理的な要因やポジションの状況も影響していると考えられますが、同じ事象に対しての為替相場に対する見通しの判断等がまったく反対になっているわけです。

金融機関、商社、メーカー等で日々為替の売り買いをしているプロが世界中に沢山います。
そうしたプロの中に、①テクニカル分析に用いるチャートを見ていない、②ファンダメンタルを考慮しないのでファンダメンタル分析はしない、というケースは考えられません。毎日のようにファンダメンタルやテクニカル面の分析をしているプロでさえ、為替相場でいつも利益を上げるというのは至難の業なのです。

一般企業は、為替の先行きを予測して利益を上げることを考えるより、海外取引によって獲得した売上や利益に対する為替変動の影響をどのようにすれば避けることができるのかについて考えていくことが重要です。

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