食品ロスと人口爆発
食品ロスと人口爆発
日本では少子高齢化で人口減少が進んでいますが、国連の発表によると、地球上の人口は現在(2019年時点)の77億人から2030年の85億人(10%増)、2050年に97億人(同26%)、2100年には109億人(42%)に達すると予測されています。
世界人口推移予測
UNITED NATIONS「World Population Prospects 2019」より筆者作成
世界の出生率は欧州を除き低下傾向にあり、世界規模で平均寿命の伸びと高齢化、人口増加が同時に進行しています。現在、世界の約9億6200万人と推計される60歳以上の人口割合は13%ですが、今後は急速に増加すると予測されています。
アフリカにおける近年の出生率は低下していますが、最も人口の増加率が高いのはナイジェリアで、2050年までに4億1064万人(2017年:1億9089万人)に増加すると予測されています。
また、インドは2050年までに16億6000万人(2017年:13億4000万人)に達し、世界1の人口数になると予測されています。
貧困諸国の人口増加が進み、現在、世界人口の11%の人が飢餓に苦しんでいるといわれています。世界全体で食料の3分の1(20億人分の食糧)が食べ残しや賞味期限切れなどの理由で廃棄されているという報告があります。
まだ食べられるのに捨ててしまう「食品ロス」について、事業者、個人、それぞれが真剣に考えていかなければなりません。
日本の「食品ロス」はどのくらいあるのでしょうか。下図は、平成28年度推計の日本の「食品ロス」に関する農林水産省の資料です。
食品廃棄物等の発生量
農林水産省 食料産業局
上記農林水産省によると、日本では646万tの「食品ロス」が発生しています。具体的には、事業者や家庭から規格外品、返品、売れ残り、食べ残し、過剰除去、直接廃棄などが「食品ロス」の原因となっています。
上図をみると、日本の食料自給率(総合食料自給率)は長期的に低下傾向にあり、カロリーベースでは近年横ばい傾向、生産額ベースでは減少傾向で推移しています。
日本は世界第1位の農産物純輸入国ですが、「食品ロス」として輸入した食品の多くを廃棄しているという現実を認識しなければなりません。
フランスでは、2016年に「食品廃棄禁止法」が成立しました。この法律は食品ロスと貧困の問題を同時に解決することを志向し、大型小売店は、貧困者支援を行う団体(フードバンクなど)と食料提供の契約を義務化されました。
具体的には、「フランスの大型スーパー(のべ床面積400平米以上)は、賞味期限切れ食品や賞味期限が近付いている食品をチャリティー団体やボランティア組織など人道支援組織へ寄付しなければならない」ということが義務化されたのです。流通や保管、維持・運営コストに課題はあるようですが、「食品ロス」に関する取り組みとして画期的なことだと思います。
日本でも、事業者は①食品製造事業者は1食当たりの量を高齢化時代に合わせた商品開発をする、②売れない商品を見込みで作りすぎない、③スーパーなど量販店では賞味期限間近の食品の活用を考えなければならい時代になっています。
現状でも大勢いる飢餓に苦しんでいいる人々のために何ができるのか、食料品を人口増加に合わせて必要量を生産できるのか、どのようにすればできるのか、食品ロスの問題と合わせて考えていかなければならないと思います。
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