社会保障給付費の推移
社会保障給付費の推移
「茹でガエル」という言葉がありますが、インターネットを検索すると「ビジネス環境の変化に対応する事の重要性、困難性を指摘するために用いられる警句のひとつ(Wikipedia)」とあります。
人は、日々の生活の中での変化にはなかなか気が付きにくいものです。5年前、10年前の写真と比較して初めて年を取ったことが実感できますが、「1か月前と比べて人口が減少してきたな、会社の数が減ってきたな」と実感することはほとんどないでしょう。
総務省統計局の人口推計によれば、2008年に1億2,808万人でピークを迎え、日本の人口は減少し始めています。また、「日本の将来推計人口:中位仮定の推計(国立社会保障・人口問題研究所:2017年4月)」では、2053年に92,924万人、2065年に8,808万人、2100年には5,971万人まで減少すると推計されています。
中小企業事業者数の推移をみると1999年の483.7万者が、2016年には357.8万者に大幅に減少しています。
日本経済を支えてきた人口、企業数がともに減少する時代に突入しています。人口や会社数が減少している状況下で、将来に向かってGDPを拡大し続けることは可能なのでしょうか。
人口は減少する一方で、高齢化を背景に社会保障費は拡大すると予測されています。
具体的には、社会保障給付費の対GDP比は、2018年度の21.5%(名目額121.3兆円)から、2040年度には23.8~24.0%(同188.2~190.0兆円)となると予測されています。
先日、横浜市がカジノを含む統合型リゾートの誘致に本格的に乗り出す旨を正式に表明しましたが、このカジノ法案成立の背景には、「少しでも税収を増やす、GDPを押し上げる」ための施策として成立を急ぎたかったという思いがあったのではないでしょうか。
収益の30%が納付金として国と都道府県にカジノ事業者から入る仕組みになっています(国と都道府県で折半)。
ちなみに、日本のカジノ施設設置のための法的根拠である「カジノ法案」(正式名称「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」、)が可決されたのは、2016年12月です。
少子高齢化、社会保障費負担の増加がまったなしの中、国と自治体にとって、この30%の納付金が魅力なのは間違いありません。
2019年10月から消費税が10%に引き上げられました。消費税引上げの理由として、財務省はWEB上に次のように回答しています。
「今後、少子高齢化により、現役世代が急なスピードで減っていく一方で、高齢者は増えていきます。社会保険料など、現役世代の負担が既に年々高まりつつある中で、社会保障財源のために所得税や法人税の引上げを行えば、一層現役世代に負担が集中することとなります。
特定の者に負担が集中せず、高齢者を含めて国民全体で広く負担する消費税が、高齢化社会における社会保障の財源にふさわしいと考えられます。」
この増税分は、社会保障の財源ということですが、、先日、元国税調査官が書かれた本を読んでいると、「消費税は社会保障費にほとんど使われていない。」という文章に目がとまりました。
「所得税と法人税の税収が、これまでの30年間に14.7兆円減少する一方で、新たに消費税の税収が17.6兆円あった。つまり、消費税の税収の大半は、所得税と法人税の減収分の穴埋めで使われている。」ということを根拠として記載しています。
経済成長していた国の人口が減少に転じるという過去に経験のない時代に突入しています。何が正解だったのかのかは、歴史が証明してくれるでしょう。
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