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(1)有価証券報告書とは

(1)有価証券報告書とは

Ⅰ 有価証券報告書とは

上場会社には有価証券報告書の作成・提出が義務づけられています。具体的には、有価証券報告書は事業年度ごとに作成し、事業年度終了後3カ月以内に内閣総理大臣に提出しなければいけません。また、上場会社には様々な業種・業態の会社が存在しますが、全ての上場会社が同じフォームに従って有価証券報告書を作成しています。主に第3号様式という記載方法で作成され、利害関係者に対して事業状況や経理状況、財務諸表などの情報が開示されます。

有価証券報告書の読み方・活用の仕方が理解できるようになると、馴染みの薄い会社であっても必要な情報を効率よく入手することが可能となります。しかし、証券投資のプロ以外で有価証券報告書を隅から隅まで読んだことのある人は少ないかもしれません。

有価証券報告書には株式投資の意思決定に役立つような情報だけでなく、中小企業が自社の事業戦略を構築する上で活用できる有益な情報が多々あります。また、現在は金融庁の行政サービスの1つであるEDINETや上場会社のWEBサイトのIR情報から、興味のある会社の過年度の有価証券報告書を簡単に無料で入手できるようになっています。色々な情報を入手して株式投資や自社の経営に活かして下さい。(一部の会社では、過年度の有価証券報告書をWEBサイトにアップしていない場合もありますが、EDINETでは過去5年間の有価証券報告書が入手可能です)

Ⅱ 有価証券報告書の信頼性

金融商品取引法では、投資者に開示される貸借対照表、損益計算書などの財務諸表について、その会社と利害関係のない公認会計士または監査法人の監査を受けなければならないと定められ、財務諸表がその企業の経営成績および財政状態を適正に表しているかという点について監査されます。

具体的には、①一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に従って財務諸表が作られている、②投資家などの利害関係者の意思決定を誤らせるような重要な誤りや偽りはない、という2点について監査されます。そのため、監査証明がついているという点で上場会社が作成する有価証券報告書の財務の信頼性は高いと言えます。

しかし、テレビ・新聞紙上で有価証券報告書に関する虚偽記載のニュースが流れることも少なくありません。なかなか、会社側の意図的な粉飾決算を見抜くことは容易ではありませんが、財務などのチェックポイントを押えることで潜在的なリスクを察知する能力は向上します。
チェックポイントは次回以降にして、今回は有価証券報告書が具体的にどのような形式で記載されているかみてみましょう。

Ⅲ 有価証券報告書の記載事項

第3号様式の記載事項


ご覧いただいたように、有価証券報告書の記載事項は盛りだくさんです。また、そのページ数は100ページ超のボリュームとなります。初めて有価証券報告書をご覧になった方は圧倒されてしまうかもしれません。しかし、自分にとって必要な情報が効率的にピックアップできて、その情報を活用できるような読み方ができれば良いと割り切って眺めて下さい。有価証券報告書の活用シーンが増えるのではないでしょうか。

有価証券報告書には定性的な情報以外に数値などの定量的な情報が多く記載されています。

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